なぜ無洗米はとぐ(洗う)必要がないの?

Vol. 110
 なぜ無洗米はとぐ(洗う)必要がないの?

年配の方にはなじみがないかもしれないが、若い世代を中心にとがないで炊くことができる米、無洗米の利用率が高まっている。そもそも無洗米がなぜとがなくて済むかを知るためには、逆にどうして米をとぐのか知るほうが理解は早い。

田んぼに実る稲は、そのままで家庭に届くことはなく、殻のついた籾(もみ)から、殻を取り除いたものが玄米になる。玄米には、表面の糠(ぬか)と胚芽という部分が付いており、糠と胚芽を取り除くのが精米である。この状態で流通し家庭で炊かれるのがほとんどだ。生の米粒を良く見てみると楕円形の先のほうが欠けており、胚芽が取り去られた後だとわかる。

この状態でも炊く前にとがなければならないのは、米の表面に残る糠を洗い流すためで、糠が残っていると臭いが生じ食味が落ちる。最近の精米技術の向上により、糠が残っている割合は低くなっているが、といでから炊くのが普通だ。無洗米の場合、糠を取り去るための別な工程を経ているため、表面の汚れをすすぐ程度で済み、とがなくてもおいしく食べられるというわけである。