天気予報でよく聞く前線の超簡単解説

Vol. 539
 天気予報でよく聞く前線の超簡単解説

天気予報で前線と聞くと、大抵は天気が崩れる結果の予報となることが多いが、いまいち前線と聞いてもピンと来ないのではないだろうか。

まず、空気には冷たい空気と暖かい空気があり、簡単には混ざらないという点を理解しておく必要がある。寒い部屋でストーブに火を点けると、次第に寒い部屋も暖かくなるが、地球規模でみた場合は、そんなに簡単に空気は撹拌されず、冷たい空気と暖かい空気は分かれて存在している。その分かれ目が一般に前線と呼ばれるのだ。

ストーブの例でも部屋の上部から暖まるように、暖かい空気というのは上に向かう。暖かい空気と冷たい空気が出会うと、冷たい空気が暖かい空気の下に潜り込む、または暖かい空気が冷たい空気の上に乗り上げるようにして、いずれも暖かい空気が上昇する上昇気流が発生する。

上昇した空気は気圧が下がり膨張して温度も下がる。これもまた理解しにくい点の1つで、空気を圧縮すると体積が小さくなって温度が上がり、逆に空気を膨張させると体積が大きくなって温度が下がる作用である。

その結果、空気中の水分が凝固して雲に変わり雨を降らせやすい。「暖かく湿った空気が前線に流れ込み大雨に…」という天気予報を良く聞くが、前線に流れ込んだ暖かい空気が上昇して温度が下がり、湿っているため凝固しやすいので大量の雨を降らせるのだ。