Vol. 555
匂いによって昔の記憶がよみがえる現象
匂いによって記憶が呼び起こされる現象のことを、フランスの作家の名前を取ってプルースト現象(またはプルースト効果)と呼ぶ。この現象の特徴は、日常的に容易に思い出すことができるような記憶ではなく、忘れかけていた記憶が嗅いだ匂いによってふいに蘇ることである。
人間がある現象を、同時に体験している五感と共に記憶することは良くあることだ。例えば、多くの人にとって母や祖母の作った料理の匂いや味は、いつまでも記憶に残っており、同時にその料理を食べた時の記憶もセットになっていることが多い。
プルースト現象は、主に幼少期の思い出に相当する記憶を呼び起こす。呼び起こせる以上は記憶として残っているので、正確には忘れていないのだが、普段は記憶があることすら意識しておらず、トリガーとなる匂いにおいても、その記憶を呼び起こすために嗅ぐものでもない。