夏になると全国で海水浴シーズンが始まる。子供たちは喜んで遊び、大人は日焼けを楽しんだり、別の目的で海に集まったりと、世代を問わず海というのは人気のスポットだ。
浜辺の浅いところにいるうちは感じないが、底にいる貝でも探そうかと少しだけ水深の深いところに行くと、急に水が冷たくなるときがある。上半身は温かいのに明らかに足元は冷たいといった変な現象が起きて気持ち悪い。これは、温度が異なる海水が混じり合わずに層になって存在しているからで、多くの人が水は勝手に混ざり合うものだと誤解していることが原因だ。
そもそも水というのは、攪拌や対流によって動きがなければ混ざり合うことはない。今は少なくなった炊くお風呂では、お湯を混ぜないといつまでたっても上部だけが熱く、入ったら下は冷たいという結果が待っている。なぜ温かい飲み物に砂糖を入れたとき、スプーンでかき混ぜるのか。それはかき混ぜないと甘さが均一にならないと知っているからだろう。
それにもかかわらず、海の場合には温度差のある水が不思議に思えてしまう。よく考えると、波打ち際でもなければ混ざらなくて当たり前の話なのである。