100万人に一人、ボンベイ型という血液型

Vol. 208
 100万人に一人、ボンベイ型という血液型

ABO型の分類では、赤血球に存在する基本型となるH抗原に、糖が連鎖することで型が決まる。A型ではN−アセチルガラクトサミンという糖が、B型ではガラクトースという糖が、H抗原に結びつくことでそれぞれの血液型になる。AB型では両方の糖が結びついている。O型はどうなるかというと、H抗原に他の糖が結びつかない形になり、他とは一意に区別される。

ところが、この糖の結びつきにはH抗原にあるフコースという糖が関係していて、フコースがないと、N−アセチルガラクトサミンもガラクトースもH抗原に結びつくことができない。そうなると、A型でもB型でもないとされるためにO型と判定されてしまう。

この特殊な血液型をボンベイ型と呼び、実に100万人に1人くらいの割合で存在する言われている。健康に生活する分には困ることはないのだが、輸血時には非常に血液の確保が難しいというリスクを、潜在的に持っているのである。