銀行の支店と出張所の違い

Vol. 315
 銀行の支店と出張所の違い

駅前などには銀行が集まりやすいが、時々その中に混じって出張所という名称の店舗がある。この出張所とは、いわゆる支店とは違い出先機関のような営業所のことを表し、名称以外で明確に違いを認識している人は少ない。

銀行法施行規則第8条の規定によると、本店とは本店として登記されている営業所(第2項)、支店とは本店に従属して銀行業務を営む営業所(第3項)となっている。そして出張所とは、本店と支店以外の営業所(第4項)になっているので、支店と営業所は法律上の定義も異なる。

20世紀の時代、銀行は厳しい店舗規制があり、容易に店舗を構えることができない状態だった。そのため、支店の代わりに登記の必要がない出張所を設け、顧客に対応していた実態がある。1997年には店舗規制の通達が廃止されたことで自由度が増し、更には認可制から届出制への変更と規制緩和が進んで出店しやすくなった。

しかし、時はバブル崩壊の立て直しの真っただ中である。ちょうどその頃は、顧客の大半が窓口利用からATMにシフトしていく時代でもあり、ニーズの関係から支店が増え続けることはなく、出張所は設備面でも人員面でもコスト削減になるという経営面のメリットもあって、支店に昇格されず残されていったのだ。