Vol. 316
ラッコが寝るときに手をつなぐ理由
ラッコという動物は、群れて海に棲んではいても泳ぎが得意ではなく、魚ではなくウニや貝類など動かないものを獲って餌にしている。そして哺乳類であるために、海の中では生活できないことから、海藻を体に巻きつけ漂った状態で眠りを取る。
こうした生態から、ラッコは水族館において互いに手をつないで寝ることがある。水族館の中では、大海原と違って潮に流されるという危険は全くないのだが、そこは本能的に危険回避の行動をとるのであって、人間が手をつなぐときのような感情はラッコにはないだろう。しかし、それでなくても人気者のラッコが手をつないだとなれば、すさんだ世の中を生きる現代人にとって、何とも言えぬ気持ちにさせるのは確かである。