手紙の宛名の次には、必ず「殿」「様」と書くものであるし、会社宛てなら「御中」といったところだろうか。現代のイメージでは、殿と書くとあまりにも持ち上げ過ぎているように思ってしまうが、実は殿より様のほうが格上とされている。
ある権威の頂点に存在する者に対して「殿様」という表現はあっても、「様殿」という表現はない。殿に対する敬称として様が最後にきているように、様のほうが位は高い。
殿という敬称は、以前は広く同僚の武士に対して使われていたという。ただし時代劇で主君に対して「殿」と呼ぶことから、広く一般的な敬称として殿が使われていたようで、現在とは全く逆の使いかたになっている。現在は敬称は一般的に様が使われているのは知っての通りだ。
時代の経過によって、例えば城主のような「殿」と呼ばれる立場の人間はいなくなり、自然に様が使われるようになったと考えられるが、本来は格上の様が使われすぎて、殿の価値が上がってしまった。