スイカを食べていると実に種が邪魔をするし、一時はスイカの種を飲み込むと盲腸(虫垂炎)になると言われていた時期もあって、種なしスイカの存在は、その不都合を一挙に解決した。
さて、この種なしスイカだが、種というのは植物にとっては次世代への子孫を意味し、染色体の影響を受ける点を逆手にとって生みだされている。
スイカは通常、2倍体と呼ばれる対になった2セットの染色体を持っており、それは人であっても同じだ。その2倍体のスイカを薬剤で処理すると、今度は4倍体という4セットの染色体を持つスイカができあがる。この時点で少し怖くなるが、それだけでは種なしスイカは生まれない。
4倍体の染色体を持つスイカと、通常の2倍体のスイカを掛け合わせると、両方足して染色体は6セットであるために、3セットの染色体を持つ3倍体と呼ばれるスイカができる。これが種なしスイカの正体で、早い話が染色体異常ということだ。食べる分には都合が良いが、染色体異常と聞くと少し尻込みしてしまうではないか。