Vol. 448
メラニン色素があるから髪は黒い、メラニンが欠乏すると白髪になる
「髪白くなったなぁ」「苦労してるからね」こんな会話は久しぶりの同窓会で良く見られる光景だ。しかし髪は白くなるものではなく、黒くなるものだという事実を考えると、この会話はおかしいことに気付くだろう。
もともと髪として生成されたばかりの頃は、色はなく白い。その後、毛母細胞が分裂を繰り返し、メラニン細胞(メラノサイト)で生成されるメラニンという色素によって黒く着色されて伸びてくるのである。つまり白髪というのは、白くなった髪ではなく、黒くならなかった髪であるというのが正しい。
黒くならない原因は単純にメラニンの欠乏である。メラニン細胞の機能的な衰えだけではなく、メラニンが生成される過程において必要とされる、モノフェノールモノオキシゲナーゼ(チロシナーゼという酵素の一種)の不足も要因の1つとされ、原因は多岐にわたる。主たる原因である老化や生活習慣については言うまでもなく、若くして白髪に悩む人や、元来色素が薄くて黒い髪が生成されないという先天的な例も多いことから、根本的な解決は意外と難しい。