Vol. 463
人間手ぶれ補正?目玉は常に震えている
目玉が震えているといってもピンと来ないだろう。震えているというのは視点を動かさず、即ち目を動かさずに一点を注視している状態であっても、常に微妙に動いているという意味で、これは正常な動作であるばかりか、むしろ震えていなければならないのである。
その理由は視覚の維持にあり、人間は目を小刻みに動かすことによって、常に網膜に届く光の情報を更新し、それによって視覚が失われるのを防いでいる。ちなみにこの動作を固視微動という。
固視微動は意識して行われていないが、無くなると視覚を保つためには常に意識して目を動かさなければならない。生活上、視点は常に動いているように思えても、意外にも大半の時間は止まっていることに気付く。その間は固視微動によって視覚を維持しているのだ。
視点を動かさなくても常に目が動いているということは、単純に考えると映像も動いてブレてしまいそうなものだが、そこは人間の脳が働き、いかにも静止画像であるように見せている。カメラの手ぶれ補正など遠く及ばない技術を脳は持っているのである。