注射でガンが治る時代が来る?

Vol. 474
 注射でガンが治る時代が来る?

日本発のガン治療で、岡山大学ならびに岡山大学発のベンチャー企業オンコリスバイオファーマによって臨床研究がおこなわれている、テロメライシンというウイルス製剤が注目を浴びている。もしかしたら注射だけでガンの治療が行える時代が来るかもしれないからだ。

テロメライシンという薬は、元々はアデノウイルスという風邪のウイルスを利用している。ウイルスを体内に入れるなど心配してしまうが、遺伝子改変されたアデノウイルスは正常細胞に感染しても増殖せず、ガン細胞に感染して増殖することで破壊するという優れものだ。

その仕組みは、細胞分裂に必要なテロメラーゼという酵素が関係してくる。テロメラーゼの活性がある細胞は、ほぼ無限増殖が可能で、多くのガン細胞がテロメラーゼ活性を持つ。その性質を利用して、テロメライシンはガン細胞を狙い撃つかのような効果を得ることができるのである。