神前式の三三九度、未成年でもお神酒は飲んでもいい?

Vol. 475
 神前式の三三九度、未成年でもお神酒は飲んでもいい?

民法では、未成年(20歳未満)であっても、婚姻すると法律行為が可能な成人としてみなされ、これを成年擬制という。成年擬制とは、いわば成年とみなす(同等の扱いを受ける)ということだ。勘違いしやすいのは、20歳を迎えて成年になった人と同じ権利が与えられていると思ってしまう点で、飲酒や喫煙など、婚姻での成年擬制と成年とは違うことを認識する必要がある。

神前式の結婚式では、三三九度が習わしとして存在しており、未成年が酒に口を付けることもあるだろう。それが許されるかと言えば、許されているのが現実である。大量に飲むとなればさすがに咎められるが、儀式としての慣習であるから舐める程度は大目に見ているし、そうでなくては成り立たない。式場によってはフリで済ませるようにしている場合もある。

厳密に考えれば、未成年者飲酒禁止法によって20歳未満の飲酒は禁止されているので、未成年者(成年擬制も含む)の飲酒を正当化することはできない。民法92条では法律行為について、任意規定と異なる慣習がある場合に慣習に従うと規定されているが、飲酒は契約と違って権利の発生などを伴わないので、拡大解釈しても飲酒できるという結論に至るのは難しい。