なぜフグ刺しはあんなに薄く切るのだろう?

Vol. 483
 なぜフグ刺しはあんなに薄く切るのだろう?

庶民が食べる魚ではないが、綺麗な柄のついた大皿に、まるで花びらのようにフグの刺身が盛られている様をみたことはあるだろうか。皿の柄が透き通ってみえるくらいに薄く切られなければ、あのような一種の芸術感を出すことができない。

なぜ薄く切って出すのかというと、フグは高級なので、もったいないから数多く食べられるように薄くしているのではない。ただし、庶民感覚で言うなら、薄く切ってもらい少しずつ食べるほうが気分的には楽しめる。なにせ、お金をそのまま食べているような金額だからだ。

心の中はどうであれ、フグという魚は身に弾力がありすぎて、他の魚の刺身のようにある程度の厚さで切ってしまうと、とても噛み切れるような弾力ではない。厚くて少ない枚数では、フグの旨みを堪能できないで終わるだろう。すなわちフグの身は固いのである。