あうんの呼吸の「あうん」の語源・由来

Vol. 542
 あうんの呼吸の「あうん」の語源・由来

あうんの呼吸というと、息がぴったりな様子を表し、2人(以上)の行動がタイミング良く噛み合って進んでいくことである。これは相手の次の行動や心理を汲み取り、言葉を発しなくても相手が何を求めているか察知しなければ成り立たない。「言わなくても伝わる」ほどの関係性が大切で、子弟間や夫婦間などのように、付き合いが長くないとあうんの呼吸は難しい。

あうんは阿吽と書いて、古代インド語における最初の音「阿」が宇宙の始まりを、最後の音「吽」が宇宙の終わりと考え、阿吽とは宇宙、つまり万物の始まりと終わりを表している。この考えかた(教え)は仏教の伝来と共に日本に伝わった。

日本の多くの寺院には金剛力士像がある。金剛力士像は2体の対になっていて、良く見ると向かって右側の像は口を開き、左側の像は口を閉じている。右側の像は「阿」が口を開いて発音することから阿形像(あぎょうぞう、金剛像)と呼ばれ、左側の像は「吽」が口を閉じて発音することから吽形像(うんぎょうぞう、力士像)と呼ばれる。こんなところにも阿吽が関係しているのである。