Vol. 636
スキージャンプの飛距離は日本人にとって有利?
歴史的にスキーのジャンプ競技は日本が得意としてきた競技である。地元開催になった長野オリンピックでの金メダルは、多くの人に感動を与えたのを覚えている人も多いだろう。
ジャンプ競技のルールは改正が多く、長野オリンピック以降も小刻みに改正されている。日本のスキージャンプ界が不振になったのは、世代交代が進んだことよりもルール改正による不利が大きいと考えられている。
日本人は小柄なため、身長比によるスキー板の長さ規制に大きく影響を受けた。小柄なほど不利を受けるルールで、スキー板は遠くへジャンプするために揚力を得る重要な道具であることから、日本の平均身長では不利になる。
また、ジャンプ競技において、体重というのは軽いほうが良い。そうなると長身で激痩せした体型が理想になるが、これは健康的に良くないので、過剰に体重を落とした選手は、更にスキー板を短くするルールが盛り込まれた。
一見、勢いと脚力だけで飛び出すように思えるが、空気抵抗と揚力を考慮したV字型のスキー板や体の角度、体重のコントロール、風の条件など、ジャンプ競技は非常に奥が深く科学的なスポーツである。