へその緒を保管するのは日本だけ?

Vol. 831
 へその緒を保管するのは日本だけ?

見たことはないかもしれないが、日本の多くの家では、子供が生まれたときのへその緒を大切に木箱などに入れて保管している。この習慣は日本を除くとごく少数の国でしか行われておらず、ほとんど独自の風習であるといって良い。特にへその緒をそのままの形で保管しているのは日本くらいのものだ。

へその緒は、母親と子供を物理的に繋げていた、いわば絆でもあるために、大切に取っておく習慣がある。その由来は定かではないものの、古来から行われてきて現在まで伝わっているのは間違いない。

地域によっては母親が亡くなると、棺に子供のへその緒を入れるところもある。これは、子供の代わりとして母親が寂しくならないように、もしくは死後の世界で子供を産んだ証明として使われるといわれ、推測の域を出ないとはいえ、家族の繋がりを重んじている点に変わりはない。

妊娠中の期間のみ、母親と子供は実際にへその緒によって体が繋がっている。必ずしも病院からへその緒を貰えるとは限らないが、命を繋いでいた証拠となるへその緒を大切にする心は、生涯失いたくはないものである。