天然記念物の認定基準はどうなってるの?

Vol. 836
 天然記念物の認定基準はどうなってるの?

天然記念物は、希少価値の動物または植物というイメージがあるが、文化庁によれば「動物、植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもの」となっており、必ずしも動植物に限ったものではない。天然記念物は平成25年4月1日現在で、1,005件(うち特別天然記念物が75件、天然保護区域を含む)が指定されている。

天然記念物の「学術上価値の高いもの」には、一定の基準がない。それは指定される対象がそれぞれ違うために仕方がないが、問題とされているのは、天然記念物に指定されることで、文化財保護法により法的な保護を受けるため、生態系を崩してでも守らなくてはならないという現状だ。

例えば、本来なら自然または人工的に(狩猟などで)淘汰されて一定の個体数を保っていたものが、自然環境の劣化によってその生息数が激減する危機に直面し、天然記念物として指定されたとする。そうすると保護の効果があれば生息数は増えるが、天然記念物の解除が行われることはそれほどない。結果的に、一部の動物に至っては、増えすぎたことで農作物への被害や、生息地に隣接する住民の人権との折り合いが問題になることもある。