銀行の語源・由来

Vol. 837
 銀行の語源・由来

お金という呼びかたは金という文字を使う。昔から価値の高い金属は金、銀、銅の順番で、これらの金属が通貨として使われていたのは誰でも知っている通りだ。しかし不思議なのが、銀行は金ではなく銀という字を使っているという点である。

銀行の行は、中国で店を意味するという。銀行はお金を扱うお店のようなものなのでわかりやすいだろう。それならば銀行ではなく金行で良かったはずだ。

銀行の銀は、単に語呂で決めたという説もあるようにはっきりしないが、少なくとも銀行の創成期直前においては、金と銀のどちらも流通していた。明治政府は新しい通貨制度を定める際において、貨幣を円形にすること、10進法の採用、そして1円銀貨を本位貨幣にしようとした初期の案がある。また、当時アジアとの貿易において、銀が流通していたのは確かである。

そこですんなり銀行に結び付くなら、当時の主要通貨が銀だからという話で終わる。実際はそうはいかず、アメリカに派遣されていた伊藤博文の提言で、銀本位の案は金本位に変わって公布された。従って金行であってもおかしくなかったのだが、なぜか銀行という名称になった経緯を持っている。