へそくりとは、体のへそ(臍)ではなく、綜麻繰りと書いてへそくりと読む。綜麻は、麻糸が巻きつけられた糸巻きの状態を表し、綜麻を繰るとは綜麻を作るための作業のことで、家計を助けるための女仕事であった。そこで内職としての作業である綜麻繰りが、いつの間にか内緒でお金を貯める、つまり内助としての妻の貯金を呼ぶようになったとされている。
損害保険会社の調査によると、サラリーマン世帯の平均的なへそくりは400万円を超えるという。どこにそんなお金が…と世の夫たちは思うだろうか。しかしその正体は開かされないのがへそくりたるゆえんであり、妻がへそくりを明かしたとしても、それが全てであるとはいえないのも、女の才覚なのだ。