精子が泳ぐ速さは分速2mm〜5mm

Vol. 877
 精子が泳ぐ速さは分速2mm〜5mm

数億もの精子の中の1つが、卵子に辿りついて妊娠に至るという結果は、考えてみれば非常に激しい競争の勝者だけに許されるということだ。日本国民の全員が一斉に海に飛び込み、たった1人が生き残る競争が行われたとしたら、そこは阿鼻叫喚の世界だろう。

精子を人間と同じに考えることはできないが、体長約0.05mmといわれる精子は、身長170cmの人間に比べると34,000分の1という大きさである。その泳ぐスピードは、分速で2mmから5mmほどだという。スピードに幅があるのは、いわゆる元気であるかどうかや、染色体の種類にも影響を受けるとされている。

泳ぎが遅いほうともかく、速いほうで考えると、体長の100倍の距離を1分間で泳ぐ計算だ。つまり170cmの人間なら170mを1分間で泳ぐということで、これは100mなら35秒ほどで泳ぐことになる。

水泳の世界記録保持者であっても、2013年までの記録では100mが46.91秒であるから、断然精子のほうが速い。完成体の人間よりも生命の源である精子のほうが速いとは、何とも複雑なのである。