Vol. 45
江戸時代の化粧〜江戸時代の女性は化粧をしていた
現在の化粧品産業は拡大の一途を見せ、それは化粧の低年齢層化や、タレントを起用した販売戦略もあるが、古来から存在する、姿見に対しての女性特有のこだわりが支えとなっているのは間違いない。有名な枕草子には化粧(けそう)という言葉があって、それ以前からお歯黒の習慣はあったとされている。
当時の代表的な化粧には、おしろいもあった。やがてファンデーションとして発達するこちらの習慣は、例えば「芸妓さん」とくれば和服に真っ白なおしろいであるように、現代にもそのまま受け継がれ、白い肌は歴史的にも女性全般に受け入れられていた様子が伺える。
江戸時代にもなると、庶民に広まった化粧品は指導書まで出回ったそうだ。おしろいを広めるコマーシャルの役割を果たしたのが浮世絵とされ、当時の著名な浮世絵画家である喜多川歌麿の作品「襟粧い」は、鏡を見る女性を斜め後ろから描いた構図で、和服の襟元に付けるおしろいの普及に一役買ったという話がある。