行司がもっている軍配はなぜあの形なのか?

Vol. 49
 行司がもっている軍配はなぜあの形なのか?

相撲の行司は軍配を持っており、行司の最高位である木村庄之助は、他の行司と軍配の色が違って格差が付けられている。軍配といえば戦国時代に使われた丸型やひょうたん型の団扇のような形をした道具である。

この軍配だが、現代にもその名を残す采配と呼ばれる、房状の紙などが木の柄についた道具であった。スポーツなどで監督が試合の指揮を執ることを、一般に采配を振るというのはそこからきている。

しかし采配はその形状から耐久性が悪く、実用的でもないことから、吉兆を占う方角や陰陽などを記した団扇型の軍配が使われるようになる。軍配を持つのは戦の指揮者なので、大将や軍師になりうるだけの権力者専用の道具だ。

相撲に軍配が使われるようになったのは、戦国時代ともいわれているが定かではない。江戸末期から明治にかけて軍配は使われなくなったが、相撲においては残って良かっただろう。相撲から軍配を取り除いてしまうと、何となく行司は手持ちぶさたで落ち着かないのかもしれない。