Vol. 85
蜃気楼という現象はどのような仕組みで発生する?
日本で蜃気楼と言えば、富山県が有名で、観光資源として利用されているくらい富山県では認知されている。実体とは別に虚像が浮かび上がる蜃気楼は、なぜ?と言われても即座に説明できる人は少ないだろう。
蜃気楼は光の屈折によって目が欺かれているに過ぎないが、実は蜃気楼の原理と同じ現象は日常的に見られる。前方のアスファルトの道路が、晴れているのに濡れているように見える現象や、川や海で底にある石などを取ろうとしたら、思いのほか深い所にあったというのも、光の屈折による影響である。
蜃気楼は、温度差のある空気の層が作られ、空気の層を堺に物体からの光の反射が屈折して目に届く現象だ。上が暖かい空気で下が冷たい空気と、逆転している時のどちらでも蜃気楼は発生し、空気の層の違いは、虚像の見える上下と関係してくる。
蜃気楼が海で起こりやすいのは、水は空気よりも温度変化が鈍いので、海によって海面に近い空気は海水温に近くなるためだ。外気温が海水温より高いと海水面側だけ冷たい空気が、外気温が海水温より低いと海水面側だけ暖かい空気になって、温度が違う空気の層ができることで蜃気楼は起こりやすくなる。