見た目だけなら現実の食品とあまり変わりがないところまで、技術が進んでいる食品サンプルだが、特にデパートのレストランでは必ずと言って良いくらい並べられている。食品サンプルの出来次第で売り上げが変わってしまうくらい、客が食品サンプルを見て料理をイメージしている証拠だ。
食品サンプル作りは職人芸だと思っている人も多く、実際にも食品サンプル作りを職業にしている人も存在する。本当にオーダーメイドになる細かな仕上げについては、人の手で仕上げなければ無理なのだろう。
しかし実際には、ほとんどが型を取って液体状の塩化ビニール樹脂(またはロウ)を流し込んで固め、着色すれば終わりである。型にはシリコン樹脂が使われるが、使用頻度の高いものは金型で作って流用しており、料理を構成する食材のうち必要なものは型を取って作り、多くの食品サンプルを組み合わせて完成する。
ただし着色だけはセンスが問われるのを免れないだろう。料理において色という要素が重要であるように、味を想像させるためには着色技術が欠かせないのだ。