Vol. 155
鼻は、片方の穴からしか空気が出てない
人間は常にどちらかの鼻が詰まっていると聞いたら驚くのではないだろうか。
確かめるのは簡単で、鼻の穴を片方ずつ塞ぎ鼻で呼吸をしてみれば良い。片方が詰まっているとまで言えないが、必ずどちらかは通りが悪いのを感じるだろう。これは正常な生理現象であって病気ではなく、鼻炎などで完全に片方の鼻が交代で詰まるのも現象自体は特別ではない。面白いのは、鼻づまりによって片方の嗅覚は完全に失われているように思えるが、実は脳がそれを補う機能を持っていることだ。
大脳皮質の一部、嗅皮質と呼ばれる部分は左右の鼻に対して1つずつあり、それぞれの同じ側の鼻からの匂い情報を集めている。一方の鼻が塞がると、作用しないと思われていた塞がった側の嗅皮質は、素早く機能が切り替わりもう1つの鼻からの匂い情報を得ているという発表がされている。まるで、左右の鼻が片方ずつ詰まることを前提としているような作用であることには、ただ驚くばかりである。