カンガルーのお腹に袋がある理由

Vol. 158
 カンガルーのお腹に袋がある理由

オーストラリアに住むカンガルーには袋があり、かなり子供が大きくなっても袋に入っている姿を、映像や写真で確認することができる。実は袋を持つ有袋類の仲間はカンガルーだけに限らないが、特に大きく機能性に富んでいるのがカンガルーの袋だ。

カンガルーの出産は早い。生まれた子供はわずか1g程度という、超の付く未熟児である。袋の中で生まれるのではなく、袋の外から自力で辿りつく点は驚愕に値する。なぜ目も見えず耳も聞こえないカンガルーの未熟児が袋の位置を判別できるかというと、親が排出孔から袋までの道筋の毛を舐めているからだという。子供はそのにおいを辿っていくのであって、親が袋に放り込むのではない。

カンガルーの袋は、元は単にシワであったと考えられている。それが長い進化の過程において、袋状のほうが生存率が高いことから変形し、現在の形になったという説が有力だ。