Vol. 169
小指を曲げようとすると薬指も曲がってしまうのはなぜ?
手を開いた状態から小指だけを曲げようとすると、同時に薬指が曲がってしまう。しかし、手を握った状態から小指を伸ばすことはできても、薬指だけを伸ばすことは、他の指を手のひらに押し付けて固定するなどしないとできない。このことからわかるように、小指が特殊なのではなく、どちらかというと薬指の自由が利かない。
人間の手は、人差し指から小指までそれぞれの指に腱が伸び、指先の方向を縦とすると、腱同士は横にも繋がっている。これを腱間結合といい、鍵盤楽器の演奏では、指の独立性で真剣に悩む人が腱間結合を切断してしまうくらいだ。
本来は4つの指の腱が横に繋がっているので、全て連動してしまいそうだが、人差し指には示指伸筋、小指には小指伸筋という伸ばすための筋肉があって独立性で優位にある。そして指の3つの関節のうち、根元を伸ばし、真ん中と先のほうを曲げる虫様筋という筋肉は、腱と同じように人差し指から小指まで4本あって、簡単にいうなら小指と薬指が強く中指と人差し指が弱い(筋力の強さという意味ではなく構造的に違う)。そのため、薬指が腱でも筋肉でも最も自由が利かないというわけだ。