Vol. 176
牛は草しか食べないのになぜおいしいお肉が育つの?
雑食の人間には考えられないことだが、ウシはワラのような草を食べて成長していく。
日本人の主食は米で、米が稲穂に実り、精米されて食卓に運ばれていくことは、大人なら誰でも知っているだろう。この過程で使われない部分がワラで、ワラは人間にとって食べるものではないので捨てるしかない。
だがしかし、現在ワラに含まれるセルロースという物質からエネルギーを生み出す研究が進んでいる。つまりワラは分解さえできればエネルギーを持っているということだ。そしてウシはワラを消化できる胃を持っているからこそ、食べることができる。
ウシや羊、ラクダなど複数の胃で食べ物を消化する動物を反芻(すう)動物といい、ブドウ糖をエネルギーとする人間とは根本的に体の機構が違う。研究が進めば稲を米からワラまで食べられる時代が来るのかもしれない。