収穫の秋と良く言われるように、秋には作物が良く獲れる。そして「秋ナスは嫁に食わすな」と言い伝えられるナスも秋が旬で、最近は一年中スーパーで売っていることから意識されないが、やはり秋のナスは旨い。
嫁に食わすなの由来には諸説あり、昔は女性が嫁いでくるのが当たり前の時代であったので、家にとって異端者である嫁に、秋ナスのような美味しいものを食わすなという、一種の差別行動だという説がある。当時から姑の嫁いびりは当然あっただろうし、実はその姑も嫁として来たことを考えれば、自分が受けた辛い仕打ちを嫁に仕返ししているのかもしれない。
だが、秋ナスは体にさわるので嫁に食わすなという説もあって、こちらは嫁いびりとは真逆の解釈だ。秋ナスは種が少ないので、子に恵まれないことが一大事で家の存続が重要視された昔では、縁起を担いでそのように言われたとしても納得できる。
もう1つは、秋ナスについての和歌である。酒粕に漬けた秋ナスを棚においてよめに食べられないようにしなさいと詠まれており、しかし「よめ」が本来はネズミも意味していることから、嫁なのかネズミなのかははっきりとしない。