Vol. 179
七五三、なぜ奇数の歳にばかりお祝いするの?
「七つまでは神のうち(内)」という言葉を知っているだろうか。現在では日常会話で聞かれるような言葉ではないため、初めて聞く人も多いのかもしれない。意味としては、数え年で7歳になるまでは、神様に成長を委ねるしかない存在、つまり社会の一員としての人間とみなされないということである。子供に対する人権論者が聞いたら目を丸くしそうな話だが、7歳まで生きただけでもお祝いをするほど、昔は乳幼児の生存率が低かったのだ。
七五三の三は「髪置(かみおき)」、五は「袴着(はかまぎ)」、七は「帯解(おびとけ・おびとき)」という儀式に基づいた数字で、日本では奇数を陽の数、偶数を陰の数として扱う考え方から決められたと言われている。子供の成長を見守ってくれた神様に感謝し、その後の成長を祈るための儀式でもある。
ただし、それぞれの儀式は別のものであり、七五三という全体の儀式の1つとして行われたのではない。それがいつの間にか時代と共に変化し、七五三と呼ばれる1つの風習になったのだ。