生まれた時からテレビやパソコンがあり、子供のうちから携帯電話やスマートフォンを手にする世代にとっては、テレビがなぜ映るかという疑問は持たないのかもしれない。テレビの中に人が入っていると騒いだ昔の人からすると、現代の人々の反応の方が驚愕であろう。
テレビに限らず、映像を映し出す機器の全てが持つ共通点は、「細かい光の点で画を表現」することだ。点で表現する技法は絵画分野では点描と呼ばれ、多くの点で描かれた絵は、一部分だけ見ると理解できなくても全体で見ると立派な絵になっている。
絵画では絵具を使うが、テレビの場合は、赤、緑、青の3色の光を組合せることで画を表現している。勘違いしやすいが、あくまでも「映像」ではなく「1枚の画」を表現しているに過ぎないことだ。テレビ局から送られアンテナで受信されたデータを基に、光を使ってキャンバスに描いているというのが正しい。
ではなぜ画は動くのか。逆説的だが実は動いてなどいないと言えば驚くだろう。少しだけ違う何枚もの画を連続で表示すると、脳は追い付いていけなくなり、その残像を利用して動いていると見せかけている、つまり我々は不本意にも騙されているのだ。