子持ち昆布の卵は何の卵

Vol. 204
 子持ち昆布の卵は何の卵

誤解している人のために最初に述べておくが、子持ち昆布は間違っても昆布の卵などではない。本来の子持ち昆布は、ニシンの卵(つまり数の子)が昆布に付いたものである。

北海道の日本海側では、春に大量のニシンが到来すると産卵で岸際が白く濁る。この現象を群来(くき)といって、ニシンという魚は基本的に浅瀬で産卵する魚だ。浅瀬であるだけに、養殖されているような大型の昆布の群生は望めず、天然物の子持ち昆布は貴重になる。

そこで、ニシンの産卵場所に昆布を仕掛けて、昆布に卵を付けるという方法も使われる。この方法は、人為的ではあるが人工的ではない子持ち昆布だ。そして問題視されているのは、人工的な子持ち昆布である。

知っての通り、数の子というのは高い。そのため、数の子の代わりにカペリンという魚の卵を数の子風に着色し、昆布に人工的に付けて販売されている。そうした製品が、「数の子の子持ち昆布」として売っていたら大問題だが、子持ち昆布がニシンの卵であることや、自然産卵による定着であることなど、法律で決まってはいない。だが、明らかに数の子に似せて作られており、消費する側もそのつもり(数の子の子持ち昆布のつもり)で購入していることが問題なのだ。