紙幣に製造年の印刷がない理由

Vol. 211
 紙幣に製造年の印刷がない理由

お札には硬貨と違って製造年の印刷がない。この点を不思議に思うかもしれないが、お札というのは製造年の印刷があってもなくてもそれほど意味を持たない。それは、お札の寿命が硬貨と違ってあまりにも短いからだ。

硬貨の場合、よほどひどい力を加えない限り、使いものにならないほど変形することはなく、何十年たっても使える(但し一部の硬貨は自販機で使えないなど不便はある)。それに対し、お札は紙なので損傷しやすく、4年から5年程度で回収されていくので利用サイクルが短い。

それだけではなく、1枚1枚のお札には記番号という唯一の番号(印刷色も含む)が印刷されているため、製造年を印刷する必要性がない。つまり、実は製造年の印刷がないお札のほうが、厳密に固体認識できるように作られて管理されているということだ。硬貨の場合には、製造年によって枚数が少ないなどの理由から付加価値を生むこともあるが、紙幣の場合には記番号で付加価値を期待しても良い結果はそれほどない。