羽のない扇風機から風が出てくる仕組み

Vol. 215
 羽のない扇風機から風が出てくる仕組み

日常的に起こりうる現象として、低気圧がくると風が強くなり天候が崩れるのは誰でも知っている。ところが、羽根のない扇風機に低気圧が関係してくると聞いても、何のことか見当も付かない人が多いのではないだろうか。

羽根のない扇風機は、台座となる本体下部に吸気口が付いており、吸い込んだ風を輪から吐き出している。しかし、吸気口からものすごい勢いで空気が吸い込まれているかというと、輪から出てくる風の量に対して明らかに少ないと感じる。この仕組みに使われているのが低気圧なのである。

空気が速度をもって動くとき圧力が下がる。そうすると、周りのほうが気圧が高いため、輪の内側に向かって外の空気が流れ込んでいく。ちょうど高気圧から低気圧に風が吹き込むという、上空と同じ原理になっている。こうして少ない空気でも、多くの空気が輪を抜けて前方に送られるという仕組みだ。

見えない空気ではわかりにくいので、同じ流体である水で考えてみよう。お風呂に湯を張り手を入れて動かすと、手を動かしたところのお湯だけを動かすことはできず、手の周りのお湯も巻き込まれるように遅れて付いてくる。同じようなことが空気でも起こっていると考えれば良い。