Vol. 220
手術の「○針縫う」ってどういう意味?
手術で「○針の大ケガ!」という見出しを見ることもあるくらい、手術においての針数は、多いほど重症であった印象を与える。しかし、これは全くナンセンスな話で、針や糸の太さ、縫った回数などは傷口と部位によって全く異なるため、針数は何の基準にもならない。
それならば、なぜあえて針数が使われるかというと、裁縫と違った縫合時ならではの特徴があるためだ。皮膚縫合の最も基本的な結節縫合では、1針縫うごとに結んでいくため、縫った回数分だけの結び目ができる。これは糸の一部が切れても傷口全体が開かないのと同時に、部分抜糸を可能にする利点があって良く行われる縫合方法だ。
しかし、必ずしも結節縫合が行われるとは限らず、連続縫合という1本の糸で縫う場合だってあり、その場合は1針になる。つまり、縫合の方法については、その場その場で医師が患部と状態に合わせて決めているのである。美容外科など、傷口が目立つとそのまま医療サービスの質と捉えられやすい状況下においては、細い針で針数も多くなる。