首相と総理大臣は、少なくとも日本においてはほとんど同じ意味で捉えられており、混在して使われたとしても、そのときの唯一の人を指し示すことから混乱が起きない。日本における内閣の首席大臣が内閣総理大臣であるが、この役職が世界中にあるかといえばそうではない。国によっては国家主席だったり、議長だったりと、役職は一定ではないため、それらを総合して国の政治のトップを表したのが首相という言葉である。
首相と総理大臣は、テレビでも混在して用いられ、テロップでは首相でも、読み上げは意図的に総理大臣とされることもある。テレビ局によって違うものの、この扱いは大臣を表す「相」と機関である「省」が、どちらもショウと発音することに起因している。
例えば厚生労働大臣を厚生労働相としたとき、コウセイロウドウショウという読みは、厚生労働省でも同じだ。これでは音で区別ができないため、テロップでは厚生労働相を、読みでは厚生労働大臣と、あえて「大臣」を使うことで区別している。この関係で首相というテロップに総理大臣という読みが使われるのである。