ウナギを刺身で食べないのは血清に毒が含まれているから

Vol. 261
 ウナギを刺身で食べないのは血清に毒が含まれているから

ウナギはどこの店でも白焼きや蒲焼といった、いわゆる焼き物で出てくるのが通常だ。世の中にウナギの刺身を出す店がないわけではないのだが、ウナギの産地など、限られた地域で新鮮なウナギが手に入る環境下である。

他の魚と同じように刺身が流通しない理由は、ウナギやアナゴなどの長物と呼ばれる魚にはちょっとした特徴があるためで、それはタンパク性の毒を血清中に含む点だ。

ウナギの血清に含まれる毒は、粘膜や傷口に入ることで炎症を起こすことはわかっている。しかし、どの程度の毒性がどういった作用によって働くのか不明で、人間の半数致死量(LD50)すらわかっていない。

ウナギを食べ始めた頃の人達が、こうした毒性を知っていたかは定かではないが、古くからウナギは加熱して食べる習慣があった。ウナギの毒の場合は、タンパク質であることが幸いして、蒲焼のような熱処理によって完全に失われる。そのため、従来から食べられている調理法では安全な食べ物なのである。