毒ガスの検知に小鳥を用いる理由

Vol. 262
 毒ガスの検知に小鳥を用いる理由

毒ガスが充満している可能性がある場所に、鳥かごに入った小鳥(カナリアなど)が連れて行かれるのは、比較的現代でも行われていた。オウム真理教の事件で、強制捜査が入るときに用いられ、有名になったのは記憶に新しい人も多いだろう。古くは炭鉱における有毒ガスの検知に使われる用途で、なぜ小鳥がそのように使われるのだろうか?

その理由は1つしかなく、小鳥のほうが人間よりも有毒ガスに敏感だからである。小鳥が人間の言葉を話せたら非難は必至で、小鳥には気の毒な話であるが、小鳥が弱っていたり絶命すれば、毒ガスが漂っているのは間違いない。

特に危険なのは、無色・無臭で毒性が強いガスである。炭鉱では一酸化炭素が発生している可能性があり、一酸化炭素中毒は、体に異変を感じたときには大抵が既に手遅れで、濃度が高いと体の異変にすら気付かずに意識を失って絶命に至る恐ろしい気体だ。