昔、宗教裁判では虫や動物が裁かれていた

Vol. 276
 昔、宗教裁判では虫や動物が裁かれていた

裁かれていたことがあるというレベルではない。実に多くの動物や虫が中世ヨーロッパにおいて裁判にかけられ、そして有罪となっている。全くもって信じられない話ではあるが、百をはるかに超える動物裁判があったとされ、人間と同様に動物を裁いていたという。

刑においても、死罪を含め、破門や追放など様々で、当然罪状も動物に対して読み上げられ、人間同様に行われる。中にはバッタなど、畑に被害を与えた昆虫も対象にされていた。

その根底には、人間に限らず分け隔てなく罪を犯すと裁かれるというキリスト教に根付いた土壌があったとされるが、それにしても裁判官、検事、弁護士が極めて真面目に神聖な裁判を動物に対して行っていたのだから、やはり信じろというほうが無理なのである。

罪を償いようにも相手は動物なので弁明のしようもなく、対象が特定できなければ欠席裁判となる。弁護士が懸命に無罪を訴えたとしても、人間の判断によって裁かれていったのは間違いない。