大丸と松坂屋というメジャーな百貨店が統合されたことに、時代の流れを感じた人も多いのではないだろうか。どちらも江戸時代から続く老舗であるだけに、ブランドイメージの強い両社の合併は業界にも消費者にも衝撃を与えた。そしてもう1つ、高島屋も両社ほど歴史は古くはないが江戸時代に創業しており、現在も残っている。
意外にもこれらの百貨店は、幕末の花形スター新撰組と関わりを持っているのだから興味深い。新選組は泣く子も黙ると言われた武装集団である。
まず、羽織を作ったのは大丸で、「誠」の隊旗を作ったのは高島屋だ。当時の大丸や高島屋は、現在の百貨店のように何でも扱うのではなく、大丸は呉服問屋として、高島屋は古着・木綿商として開業していたので、そのような注文になったのであろう。
では松坂屋は何かというと、新選組でもスター中のスターで副長の土方歳三が、上野店で奉公をしていた。このときは新選組に入るなど思ってもみなかっただろうが、隊長である近藤勇との出会いが彼の運命を変えていくことになったのである。