助手席だと車に酔うのに運転していると酔わないのはなぜ?

Vol. 281
 助手席だと車に酔うのに運転していると酔わないのはなぜ?

例えば、助手席に人を乗せて、左に曲がるためにウインカーを上げたのに、実際には直進したとしよう。もちろん、交通上のルール違反なので良くないが、あくまでも例である。

その場合、運転者は左に曲がらないことを知っているので、直進しても平気でいるが、同乗者は左に曲がるものと思っているのに反する結果になると、脳だけではなく体にも影響がある。人間の体というのは面白いもので、脳で事前に予測している結果にならないときには、予測通りの結果が得られたときと異なる状態になるのだ。

車に乗っているときに常時発生する揺れや遠心力、加減速による影響において、同乗者が車の動きを予測するのは主に視線である。そのため、意志を持って車をコントロールする運転者に比べると、同乗者はこうした車の動きについて、少しずつ脳の予測と異なる状態が蓄積する。車酔いには色々と要因はあっても、この予測のズレも要因の1つと考えられている。

運転者の場合、自分のペダル操作やハンドル操作によって車の挙動を事前に予測できるため、酔わないことが多いのである。