Vol. 283
人工静止衛星の速度は秒速3キロ、時速1万キロ以上
静止衛星とは、地球から見た時にいつも同じ場所にある衛星のことである。しかし良く考えてみると、地球は自転しているので静止衛星が文字通り「静止」していたら、1日1回決まった時間しか同じ位置にあるように見えない。従って、地球から見て静止しているということは、地球の自転スピードと同じ速さで動いていなければならないのだ。
静止衛星は、静止軌道と呼ばれる決まった軌道に存在しなければならず、静止軌道とは地球の赤道上の高度36,000キロくらいの高さの位置である。地球の半径が約6,370キロであるから、地球の中心から42,370キロくらいの位置にコンパスで円を描くと考えれば良い。とはいえ、これは全く想像がつかないだろう。
円周の求め方は半径の2倍(直径)×円周率なので、静止軌道は約266,000キロだ。それを1日で回るということは…1時間で約11,000キロ…1分で約185キロ…1秒で約3キロ、即ち秒速で約3キロとなる。
日常的に使われる速度の単位は、例えば時速何キロのように時速で、秒速なら風速何メートルといったところだろうか。秒速3キロとは静止軌道の円周よりも想像がつかない世界である。