Vol. 302
なぜ?深海魚が水圧で潰されない理由
一般には水深が200メートルを超えると深海と呼ばれ、光の届きにくい深い闇に覆われた世界では、様々な生態系が活動している。水中で呼吸ができない人間にとっては想像も付かない世界だが、とてつもない水圧を受けて生物は生きているのだ。
水圧の影響を最も受けるのは気体で、空気(酸素)を吸って潜り、深くなればなるほど肺が水圧で潰され容積が低下する。そのため、人間がどんなに長く息を止められても、いくらでも潜れるかと言えばそうではない。肺という気体を溜める器官が必要不可欠である以上、水圧の影響は避けられないからだ。
深海魚が水圧に耐えるためには、魚として浮力を調整する器官の浮き袋に気体があると障害になる。そのため、深海魚では浮き袋に油が入っているか、もしくは浮き袋がない体を持っているので、水圧にも耐えられるのである。
ちなみに浮き袋が無い、もしくは小さい魚は意外にも多く、回遊魚に良くみられる。回遊魚が休むことなく泳ぎ続けているのは、浮き袋が無いために沈んでしまう事と、泳ぎ回って常に酸素を取り入れないと死んでしまう事が理由なのだ。