Vol. 337
偏西風の秒速は100m(時速360q)
普段考えることも少ないが、行きの所要時間と帰りの所要時間が大きく異なるということはあまりない。それは、どちらも同じ交通手段を使った前提であれば、乗り物の速度差がない限りは、ほぼ同じ時間で往復できるからである。そこで、行き帰りのタイムスケジュールを考えて行動するのが普通だ。
ところが、航空機の世界になると状況が一変する。上空を時速900kmで進む航空機にとって、無視できないのが空気抵抗、即ち風である。
雲の上まで出ると、晴れ渡った世界であっても、上空には非常に強い風が吹いており、向かい風になるか追い風になるかで所要時間が全く違ってくる。特に問題になるのが、中緯度地域に吹く偏西風で、その最大スピードは秒速100m(時速360km)と非常に速い。
偏西風は西から東に吹くので、例えば日本からアメリカに向かうときは追い風、アメリカから日本に向かうときは向かい風になる。その違いが所要時間の違いになり、航空機の出力が同じなら風の分だけスピード差が出てしまうのである。