痒いところをかくと気持ちいい理由

Vol. 342
 痒いところをかくと気持ちいい理由

かゆいところをかくと、ほんの一時的にかゆみが止み実に気持ち良く、そしてまたかゆくなる…この繰り返しによって、肌を傷つけてしまう皮膚疾患もあるくらい、かゆみというのは実に人間にとって不快感と快感の狭間にある感覚である。このかゆみというのは神経系統では痛みに分類され、実はかゆみという神経の感覚はない。

人の末梢神経には種類があり、かゆみに繋がるのは遅い痛みを感じる神経の活性化だ。この神経は他の神経よりも細く普段は感じることは少ないのだが、例えば肌が乾燥したりかゆみを伴う皮膚炎では表皮の内側まで入り込み、刺激を受けると脊髄を通して脳に伝えられる。

かくことで新たに脳に与えられるのは、かゆみを伝える神経よりも太い神経系による刺激である。この刺激は触覚や早い痛覚を担当しており、神経というのは神経が太いほど早く脳に伝わる。そうすると、脳は先に伝えられる痛みや触覚によってかゆみを忘れてしまい、それが気持ちいいという結果を導いているのである。