ノアの大洪水は実話?

Vol. 352
 ノアの大洪水は実話?

キリスト教信者でなくても、ノアの方舟(箱舟、はこぶね)くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。自らが創造した人間の堕落ぶりに落胆した神が、洪水で生物を地上から消し去ろうとするときの話で旧約聖書に登場する。紀元前の3000年から5000年も前に起こったとされ、本当であるかどうかははっきりはしていない。

ノアの大洪水では、正しい行いをしていたと神に認められていたノアとその家族、つがいの動物たちだけが方舟に乗って現在のトルコにあるアララト山に到着し、洪水を免れるという話だ。それだけなら創作は十分可能なレベルだが、実は大洪水伝説は世界の至るところに見られるという点が興味深い。世界規模の大洪水が起こらなければ、こうした話は局所的な一地域に語られるにすぎないからである。

紀元前の時代には、大陸間の交通手段が全くないので、世界中に洪水の話を流布することはできない。それがノアの大洪水をはじめとする、大洪水伝説の信憑性を高めている理由の1つでもある。