目が二つある理由は物を立体的にみるため

Vol. 354
 目が二つある理由は物を立体的にみるため

人間には、2つの目を使って対象物を立体的に見るという機能が備わっている。2つの目で見ているのに、1つの映像に見えるのは、2つの目から得られた画像を脳が合成処理をしているためである。2つの目の映像にズレがあることは、片目を交互に閉じることで容易に体験できる。そして両目で見たときに、その対象物が真ん中に配置されないのは、無意識のうちに利き目が注視しているからだ。

片方の目としては2次元の平面図形でしか映っておらず、網膜にも当然2次元の画像としか認識されていない。そのため、片目では対象物に触れたりすることに対して距離感を掴みにくい。ズレのある両目で見ることで、脳によって奥行きも感じられる三次元空間を体感できるという仕組みになっている。

この仕組みを意図的に利用したのが3D映像の技術だ。3D映像では、片方の目のための映像を2つ用意し、両方の目に違った映像を高速で届けることによって、立体感を生み出している。確かに技術革新があってこその技術ではあるが、実際に映像が飛び出しているわけもなく、脳に錯覚を起こさせるようにしているだけなのだ。