Vol. 359
水星の温度〜昼は400℃超、夜はマイナス60℃
太陽系の順番を記憶したことがある人なら、誰でも「水」は初めに来るので、水星が太陽から最も近い惑星であることは知っている。だが名前が水星なのに、実は昼に400℃を超すほどの灼熱の星なのである。
太陽から近いだけに、地球よりもはるかに温度が高いのは簡単に想像できる。灼熱の星とはいえ、夜は逆に−160℃と極寒になってしまう。これは、地球のように断熱材の役割を果たす大気が存在しない事と、もう1つ大きな原因がある。
それは水星の公転と自転の周期で、公転が約88日に対して、自転が約59日になっており、2回の公転で3回の自転に相当する。すると何が起こるかというと、1年が88日なのに1日が176日(2年)という不思議な現象になる。もちろん1日とは、例えば朝日が昇ってから次に朝日が昇るまでというように、太陽が水星の空を1周する間のことをいう。
仮に日の出から1年と1日を数えたとして、59日後には自転で1周するが、その間は常に昼になる。ちょうど陽のあたる方向に自転してしまうためだ。そして88日後(1年)にようやく日の入りになる角度に到達し、そこからまた88日後までは、陽のあたらない方向に自転してしまうので常に夜になるのである。