なぜ?お椀がテーブルの上を勝手に滑る現象を科学で証明

Vol. 362
 なぜ?お椀がテーブルの上を勝手に滑る現象を科学で証明

一般の家庭において食事の前にテーブルを拭くのは日常的な光景で、その後、料理が運ばれてくるとみんなで食事となる。テーブルが乾く前に味噌汁の入ったお椀を置くと、やがてスーッと音も無くお椀が動く現象に出くわすことがあり実に奇妙だ。

これは決まって熱い汁ものをお椀に入れているときに起きる。不思議な現象だが、摩擦と空気の膨張という誰でも知っている知識で説明が可能だ。

テーブルが濡れていると摩擦抵抗が小さくなり、物が滑りやすくなるのは簡単に理解できるだろう。雨の日は車がスリップしやすいのと同じで、水が潤滑の役目になっているのである。もう1つの原因は、お椀の底にある高台と呼ばれる円形の台座だ。高台があることでお椀は底面がテーブルから浮いており、高台部には空気が存在している。この空気が熱い汁によって膨張し、お椀を押し上げることで更にお椀とテーブルとの摩擦抵抗が減少する。

すると、小さな力でお椀は滑り出し、原理を理解していない人にとっては摩訶不思議な現象が始まってしまうのだ。